Copyright 1999 Ken Kishimoto
一口知識(エルニーニョ El Nin~o)
エルニーニョは、
南アメリカペルー沖から
日付変更線までの数千キロに及ぶ非常に広い領域で海面の温度が上がる現象です。
南半球では夏の12月から3月かけて、
特にクリスマスのバナナの収穫時期によく起こるので、
神への感謝の気持ちを表して、
スペイン語で「神の子」を意味するエルニーニョと名付けられました。
海面の温度が上がると遮るもののない海洋では、
空気が温められ、上昇気流が起こります。その周囲の大気の流れを大きく替え、
熱帯の太平洋中央部や南
米のエクアドルやペルー沿岸部、アルゼンチンやウルグアイでは、雨が多くなり
大雨による災害が起こる傾向があり、
逆に熱帯の大気大循環の変化によって下降流が強まるインドネシアなどの東南アジアやオーストラリア東部、ニューギニア、インド、アフリカ南部などでは、雨が少なく干ばつになる傾向があります。
気候が大きく変化して農業や生活環境に大きなダメージを加えます。
この現象は一年間続きますので、被害は台風の比ではありません。
エルニーニョ現象は東風が
何らかの影響で弱まるために起こる現象といわれていますが、
まだ詳しくはわかっていません。4〜5年
ごとに発生していますが、近年間隔が狭くなってきています。
エルニーニョは赤道海流に乗って、アジアの東海岸にも達し、
オーストラリア北部、ニュージーランド、フィリピン、日本などの近海の海面温度を上昇させます。
このため、
東南アジアのインドネシアでは、1998年9月の末までに、
東京都の3倍の広さの60万ヘクタールが燃える山林火災が続き、
煙が海を越えて近くの国々にまで達して、大きな問題になっています。
さらに、アメリカの大水害、アフリカの大かんばつ、
また平成5年に日本に平成大凶作をもたらした冷夏も
このエルニーニョが原因といわれています
4年毎の海面水温
1981年-1984年、
1985年-1988年、
1989年-1992年、
1993年-1996年、
1997年-2000年、
2001年-2004年
1997年05月にアメリカ大陸の西海岸一帯
とくに南アメリカペルー沖でから発生した高温の部分は赤道流に乗って、
アジア大陸東海岸に達し、
北は日本近海とオーストラリア北側を例年より高い温度の海面になっています。
特に 1998年01月から一年間高温が続いたため、珊瑚が全滅しました。
1998年05月から南アメリカペルー沖は低温となり、
ラニ−ニャ(La Nin~a)現象が起こっています。
エルニーニョ現象と逆の現象で表層の温度が異常に低温になる現象です。
エルニーニョ現象とともに世界各地の異常気象と関係があるとされています。
エルニーニョ現象は、海面のみの現象ではなく、大気の動きや海洋の内部にも
関係しているといわれています。
普通の年は、太平洋の赤道付近では、南アメリカ側で高気圧、オーストラリア、
インドネシア側で低気圧であり、東側から西側に貿易風が吹いています。この風
は、赤道付近の海流を東から西に流します。すると、表面にある温まった海水は
シンドネシア側に流れ、その反対にペルー側では深い部分から冷たい海水が湧き
出てくる状態になります。そして、西側は温まり水を多く含んだ雲が発生して、
インドネシアなど東南アジアの国は、農耕に必要な恵みの雨が得られるわけです。
ところがエルニーニョ現象が発生しているときは、貿易風が弱く、
東側の冷水の湧き上がりが少ないため、東側の赤道上に大きな温水域を作り、
雲の発生する海域は東に移動します。
そして、低気圧海域は東に移動し、東南アジアは高気圧となり、
平年と逆の気圧配置になります。
雲の盛んな発生は、太陽光の遮蔽と蒸発熱のため、海面温度を低下させます。
そして、再び雨の降る地域は、西へと移動して、貿易風を強め、
東側からの冷水の湧き上がりを盛んにします。
つまり、日本に台風がそこそこ来る年は、海面が正常ですが、
台風が来なくなると、発生した台風は洋上で消滅し、
恵みの雨を東南アジアや日本には、もたらしてくれないのです。
このようにエルニーニョ現象は大気の流れと海表層の流れの関係がつくり出す
もので、5年から7年の周期で来るものです。
これは今世紀初頭から知られていたもので、
ENSO(エルニーニョ・南方振動)と呼ばれています。