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音響センサ

騒音の測定方法は JIS で定められており、 音圧2$\times10^{-5}$Paを基準とする対数音圧レベルで 騒音の大きさ dB を表示する。

騒音の測定には

騒音の大きさ 騒音計
周波数分析 FFT アナライザ
音源の方向性 音響インテンシティ
が標準的に使用される。

これらのうち,騒音の大きさと周波数分析の測定によって, 騒音の大概の性質を把握することができる。 騒音の大きさは, 環境問題に対して「うるささ」の指標として利用され, 音圧そのままの強度を表す指標(Cスケール)に対して、 人間の聴覚に対応するスケール(Aスケール)を用いて, 音の強さを評価する数値である。 これは測定された場のうるささを定量的に示す方法であるが 音源の性質を表す方法ではなく、 ここで扱う音源の性質という題材に対してはあまり重要な意味を提示しないが, 音源の強度を単純に表すためには有効である。

これに対して, 周波数分析(パワースペクトラム)は音源の性質を表すときには有効である。 この周波数分析を行うため,市販の計測器(周波数アナライザ)や実験室で作成さ れたデータ処理プログラムを用いる。 現在, この主流は FFT(Fast Fourier Transformation) であるが, デジタル処理において 被処理データに含まれる周波数が 処理周波数に一致しない場合(ほとんどの場合一致しない)には, その周波数強度は正確ではない場合があることに注意しなければならない。 そのため, 周波数分解能を少し犠牲にしてオクターブバンド分析を利用して, 適当な周波数帯域全体の強度を利用することもできる。 騒音分析を行う場合には, 数回の周波数分析を周波数で加算平均して, サンプル間差の誤差を吸収する必要がある。 しかし, 過渡的な騒音を分析する場合に,この周波数分析の加算分析を行ったり, 周波数分解能を上げるためにサンプル数を増加したり, サンプル時間を延長する方法には困難となることが多い。

図 3.78: マイクロフォンの指向性とマイクロフォン配置
\includegraphics[scale=0.9]{TgifFigs/SsourceM-j.eps}

騒音低減を行う場合には,特定の周波数強度を正確に知る必要は少ない。 そのため,おおよその強度分布でよく, 周波数分析としてFFTを 最近の高速なパーソナルコンピュータで行うことで十分な 計測が可能である。 この周波数分析に加えて,騒音対策として 音源の特定が必要となる。 この特定のために音源からの音圧強度分布と音源から出る騒音の指向性の 計測が問題となる。 しかし,まだこの音源特定が容易にできる計測器は少ない。

機械から出る音源を定める方法として, その機械の一部からの音を遮断し, 遮断する部品を変えることでどの部品が音源であるかを定める Masking Method と呼ばれる方法がある。 これは エンジンなどの構造物からの騒音源を定める方法としては 有効な方法であるが, 気体中に騒音源のあるケースでは, 有効に気体の一部から発生する音を遮断することは困難であり, 気体中の騒音源を定める方法としては役に立たない。 さらに,固有振動数で振動しているシステムでは, 音源だけではなく, システム全体が同じ振動エネルギを持つため, システム全体が音源でありその振動を加振している 音源を特定することはできない。

極めて強い指向性を持つマイクロフォンを用いて 空間に向けて,音源強度の分布を測定し, することもできるが, 音源を特定する事ができるが, 満足できる位置分解能を持つ指向性の強いマクロフォンを 手に入れることは困難である。

そこで,筆者が使用した方法を紹介する。 この方法は 市販されている汎用のマイクロフォンを用いて音源を定める方法である。 このマイクロフォンの指向性は, 周囲の壁などで反射した音をマイクロフォンが拾わないようにする程度であれば よい。

一例として 図3.78-a)の指向性を持つマイクロフォンを使用し, 図3.78-b)に示すように, 高さ$h$で火炎から長さ$\ell$離れた位置にマイクロフォンを置くと, このマイクロフォンには,

\begin{displaymath}
S_m(h,f) = \int_0^\infty S_g(h',f)g(h-h',f)dh'
\end{displaymath} (3.33)

の音を取る事ができる。 ここで, $f$:周波数, $h$:マイクロフォンの高さ位置, $h'$:位置変数, $S_m$:測定した音圧レベル, $S_g$:真の音圧レベル, $g()$:マイクロフォンの指向性(装置関数) である。

図 3.79: マイクロフォンの指向性を考慮し求めた音源分布
\includegraphics[scale=0.9]{Figs/SsourceR.eps}
この式は畳み込み積分の形式をしているので, デコンボリューションすれば, 真の音源を求める事ができる。さらに, 装置関数は, マイクロフォンの周波数$f$での指向性$G(\theta,f)$とマイクロフォンの向く位置$(h,\ell)$と位置$(h',\ell)$の関係, 角度$\theta$から球面波を仮定して,

\begin{displaymath}
g(h-h',f)=G(\theta,f)\left(\frac{\cos\theta}{\ell}\right)^2
\end{displaymath}

とする。

この方法でも異なった位置から入射する音の干渉効果はないと仮定しているため, この仮定にあう程度の指向性と周囲の反射性の低いことが必要である。

このようにして, 求めた音源を図3.79に示す。 熱発生速度変動の強さの分布によく似たカーブとなり、 この方法によって、 騒音発生の音源分布を知ることができる。 この音は無相関であることは条件となる。流れに沿った火炎のような対象物では 無相関である保証は少ないが、実験では対応する結果を得ることができている。



Ken Kishimoto 2014-06-02