next up previous contents index
Next: 磁気センサ Up: 圧力・音センサ Previous: 音響センサ   目次   索引


音響インテンシティ

音響インテンシティ測定器の規格として IEC 61043 、音響パワーレベルを測定するための規格として ISO 9614-1 がある。 また、翻訳規格としてJIS Z 8736-1 、 JIS Z 8736-2 がある。

音響インテンシティは、 音場を扱う場合の基本量となっている。 この音場は通常複素数で表されるが、 音の強さは音場の強さを表す複素インテンシティの実数部になり、 単位時間に単位面積を通過する音響パワーと定義され``音の強さ''であり、 W/m$^2$の単位を持つ。

図 3.80: 音響インピーダンス用ペアマイクロホンの例
\includegraphics[scale=0.8]{Figs/microphone-probe}
3.80に示すように 空間的に離して対向して 配置した位相整合した圧力形ペアマイクロホン(p-p方式)で 構成された音響インテンシティプローブを用いて、 測定する方式では、 平均音圧レベルと音圧の傾きを同時に測定し 音響インテンシティレベルは、 演算により求める。 粒子速度は通常、有限差分近似により決定する。

音場内のある点における 瞬時音響インテンシティは 時間の関数となり これを$I(t)$で表わす。 音響インテンシティ$I(t)$は音圧$p(t)$と粒子速度$u(t)$の積で与えられ、 一方向(これを$i$方向とする)のみに着目すれば次のようになる。

\begin{displaymath}
I_i(t)=p(t)u_i(t)
\end{displaymath}

音圧$p(t)$と粒子速度$i$方向成分$u_i(t)$は、 2本のマイクロフォンの圧力から次のように近似的に表せる。

\begin{displaymath}
p(t)\approx \frac{p_1(t)+p_2(t)}{2}
\end{displaymath}

$\rho$は空気密度、$d$はマイクロホンの音響中心間距離とすると

\begin{displaymath}
u_i(\tau)\approx \frac{1}{\rho d}\int_{-\infty}^\tau\left\vert p_1(t)-p_2(t)
\right\vert dt
\end{displaymath}

音響インテンシティは
\begin{displaymath}
I_i(\tau)\approx
\frac{1}{\rho d}\frac{p_1(\tau)+p_2(\tau...
...}
\int_{-\infty}^\tau\left\vert p_1(t)-p_2(t)
\right\vert dt
\end{displaymath} (3.34)

である。この音響インテンシティの計測はこのペアプローブを用いて行う。 この計測には2つの方法があり、 一つは式(3.34)を直接計測する方法であり、 時系列で採取した $p_1(t)$$p_2(t)$から計算する。 この時、周波数範囲で仕切られた分析を行うには、 $p_1(t)$$p_2(t)$にバンドパスフィルターをつけるか、 採取した時系列データにフィルター処理を施してから計算する必要がある。 もう一つは、取り込んだデータをFFTによって周波数領域に移して計算する方法 である。 2つのマイクロフォン信号のクロススペクトル $S_{12}(\omega)$を計算し、 クロススペクトルのその位相部分つまり 虚部 $\mbox{Im}[S_{12}(\omega)]$を用いて計算する。
\begin{displaymath}
S_{12}(\omega) = \lim_{T\rightarrow\infty}\frac{2\pi}{T} P_1...
...\rho\Delta r}
\frac{\mbox{Im}[S_{12}(\omega)]}{\omega}d \omega
\end{displaymath} (3.35)

音響インテンシティレベルは、 音響インテンシティベクトルの法線$I_n(t)$成分の面積積分が、 閉曲面の音源が発する正味の音響パワー$W_s$に等しいことを示している。

\begin{displaymath}
W_s(t) = \int_S I_n(t)dS
\end{displaymath}

また、 この式が閉曲面内の音源が発する正味の音響パワーのみを表わすということは 閉曲面の外に音源がある場合でもその音源による影響は受けないことを示しており、 つまり無響室や残響室などの特殊な音場でなくても 音響パワーの測定が可能であることを意味している。

音響インテンシティを計測する事で単位面積あたりの 音響パワーと エネルギーの流れる方向を計測できるため、

などに使われている。



Ken Kishimoto 2014-06-02