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熱線風速計

電流を流して発熱させた極めて細い線から気流に放熱する熱伝達量は 流体の速度に依存した熱伝達率で決まることを利用した測定方法である。 通常この細線は 白金、タングステン、白金イリジウム が 使用される。 気流の温度変動がある場合には誤差となるので、 冷線といわれる測温素子を併用して測る場合が多い。 いずれも、熱線は、5.0$\mu$m や 3.5$\mu$m あり、これらの抵抗値も数である。

極めて細い熱線の温度は、熱線の体積を $V=\frac{\pi D^2}{4}\ell$として

\begin{displaymath}
\rho_s c V\dif{T}{t}=\pi D\ell h(T-T_a)+P
\end{displaymath} (3.44)

で与えられる。加熱量は $P = i^2R = E^2/R$である。 細線の熱伝達率$h$は King の式[4]で表せ、 $h = a + bU^{1/2}+cU$である。

$P$ : 熱線の加熱量 $U$ : 流速
$i$ : 電流 $R$ : 抵抗値
$E$ : 電圧 $a, b, c$ : 係数($c = 0$とする場合もある)
$n$ : 速度に対する指数($\approx$2.0)   :  
熱線風速計には、定温度型と定電流型とがある。 いずれも 図3.89に示すような抵抗のブリッジ回路の一辺を 熱線とする方法である。
図 3.89: 熱線風速計のプローブと動作原理回路
\includegraphics[scale=0.48]{Figs/hotwire.eps} \includegraphics[scale=0.9]{Figs/Anemometer.eps}
定電流型では、$i$が一定であるとして、$R$ の変化を求める方法であり、 定温度型では、温度つまり$R$を一定にするように、$i$を変化させる方法である。 定温度型では式(3.44)の時間微分項$dT/dt$がゼロになるため、 熱線の熱容量$\rho c V$は無視できる式となり 定電流型に比較して応答性は著しくよい。 抵抗$R$すなわち上の式に示した $T-T_a$が一定であるので、 $a, b, c, n$ をあらかじめ測定しておけば

\begin{displaymath}
E^2=a+bU^{1/2}+cU
\end{displaymath}

という式から、加熱に用いる電圧$E$を測定して、$U$を知ることができる。

3.89に示す回路において、 流速が大きくなり放熱量が大きくなると熱線の温度が低下し 熱線の抵抗は低下する。 そのため OpAmp の$+$端子電圧が上がることになる。 これは OpAmp の出力電圧を増加させるため、 放熱の大きくなった素子に電力を供給して、抵抗値が 常に一定になるように OpAmp の出力を制御する方法である。 すると、 抵抗変化の元の温度変化に基づく $(mc/Ah)(dT/dt)$ の項目がゼロとなるので、 見掛け上、熱慣性($mc/Ah$)があっても 温度変化の遅れがないとみなせる。 言い換えれば質量ゼロとみなせる効果がある。



Ken Kishimoto 2014-06-02