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量子化誤差

図4.16 量子化誤差
\begin{wrapfigure}{r}{70mm}
\begin{center}\vspace{-3em}
\includegraphics{./TgifFigs/QuError.eps}
\mfcaption{量子化誤差}
\end{center} \end{wrapfigure}

アナログ信号をデジタル化すると図4.16に示すようにデジタル 信号は 1bit に対応する電圧(量子化幅$q$)で区切られた信号となる。この区切 られたデジタル信号とアナログ信号$S_{ig}$の関係は
\begin{displaymath}(n-1/2)q<S_{ig}<(n+1/2)q\end{displaymath}

であり一致しない。 $Err_q = (n+1/2)q-S_{ig}$を量子化誤差という。当 然ながら$\pm q/2$以内に収まっている。
最大入力電圧を$E_{max}$とすると分解能$n_{bit}$ビットのAD変換器の ダイナミックレンジは
\begin{displaymath}B=20\log_{10}(E_{max}/q)=6.02n_{bit}\hspace{3em}\mbox{dB}\end{displaymath}

で与えられる。 10V レンジのAD変換器では表4.2に示すようになる。
表 4.2: ビット数と量子化誤差
ビット数 ダイナミッ 量子化幅 量子化 実用誤差
  クレンジ dB mV 誤差 % %
8 48.1 39 1.125 1.56
10 60.2 9.7 0.28 0.39
12 72.2 2.4 0.08 0.097
14 84.3 0.6 0.02 0.024
16 96.3 0.2 0.005 0.006

実用誤差は,8bit では 1bit, 他は 2bit 精度落ちするものとしてある。
このように高分解能のAD変換では入力アンプやサンプル&ホールド回路を誤差や ノイズレベルが$Err_q/2$以下になるように構成しなければならない。高分解能 になればなるほどアナログ部の回路は難しくなり、12bitが自作実用限界である。
4.16下部に緩慢に変化する信号では,$Err_q$は同符号で続くこ とになり,積分処理などでは大きな誤差となる。
\begin{displaymath}
\sum Err_q = \sum^N_{i=0}(n_i+\frac{1}{2})q\Delta t -\int^{N\Delta t}_0
S_{ig} dt
\end{displaymath}
しかし,量子化幅より大きな雑音が存在すると,この雑音によって$Err_q$は符 号を変えることになり、このデジタル値とアナログ信号との差の累積は小さくな り,積分処理における量子化誤差の影響は軽減され得るという皮肉な現象もある。 同様に信号処理において,確率密度,二乗平均,相関関数などの積分を主体とし た計算では,この量子化誤差は計算の精度にほとんど影響を与えない。振幅が正 規分布する雑音を標準偏差幅の量子化を行っても二乗平均で 10$^{-6}$% 程度 の誤差しかないと言われており,信号値を直読する必要のない場合には量子化誤 差は無視できることが多い。

Ken Kishimoto 平成19年3月18日