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センサーの基本と原理

よくいわれるように「最もよいロボットのお手本は人間である」と 同じように計測システムやセンシングシステムのお手本は 生物の検知器官である。 人間の感覚器官は他の動物に劣るものも多いが, 一般の機械から比べるとバランスの取れたセンサシステムを持つ。 特に人間においては 頭脳をも その器官に含めて考えると 驚異的に素晴らしいセンシング技術を備えている。 古くから,例えば中国では,眼がん耳じ鼻び 舌ぜつ身しん意いといって 人間の六種の感覚器官を表現する。 この「意」という語彙は 宗教的啓示や推論を意味することが多いが, 他の5つの感覚器官のハードと異なり, そこから得られた情報を総合的に整理し, 過去の解析結果を合わせて結論を導出するソフトを示し, ここでは論理思考を示す。 そして、現代では脳科学に基づいて第六のセンシングが解明されるかもしれない。

しかし、まだ、第六感はその客観性の証明が困難なことから「勘」と呼ばれ, 根拠のないいい加減なこともおおい。 しかし,経験者の「勘」は研究の動機になったり, 偉大な新発見の原動力になったりする。 これは,過去の経験や豊富な分析が判断の元になっているからであり。 人間の第六感を喚起させる出力を目標とするばかりではなく、 人工知能として 最新の計測は,まさに計算機による第六感を目指すことになる。

もちろんこの第六感による勘は動機を作るだけであり、 客観的な説明や証明が無ければ単なる勘のままとなる。

実際のセンサには次のような考慮すべき事項がある。

  • 計測対象となる物理・化学量
  • 計測可能の範囲(ダイナミックレンジ)
  • 検出原理
  • 繰り返し計測での精度
  • 線形性
  • ヒステリシス
  • 出力信号の種類(電流か電圧か)と強度
  • 計測出力の温度や電磁気による影響
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センサーはそれぞれの使用法や計測の程度に合わせて, 上記の特性に対する要求度が異なる。

多くのセンサーは, 物理化学現象や効果を組み合わせ, エネルギや情報の変換器を構成している。 次の表2.1に基本センサーの概略を示す。 また表2.2にいくつかの物理法則を示す。

センス原理,センサーの応用
検出対象 センス原理 センサ 応用例
長さ・位置
レベル, 変位・歪み
(光,超音波)波の干渉
伝播時間
電気抵抗
レーザー干渉計,超音波干渉計,受信器と送信器,直線抵抗,エンコーダ 速度,位置制御や位置決め
速度 周波数変換,起電力変換,熱伝達 エンコーダ,ダイナモ,熱(冷)線 ロボット,気体風速計
力・圧力
トルク
歪み/電気抵抗,歪み/起電力,変位 ストレインゲージ,感圧素子,バネ 荷重計,圧力センサ
動力 摩擦や逆起電力に変換 発電機,動力計 動力計,荷重計
明るさ・色 半導体電子効果,屈折 分光器, CCD, 光Tr,
 光Diode,フォトマル,PdS
火炎検知,侵入警報
温度 気液体の膨張,半導体効果,熱放射 熱電対,サーミスタ,抵抗線温度 計,赤外センサ,熱電堆 ヒータ,エアコン
濃度・成分 熱伝導度,粘性計測,化学反応,発光,吸光 TCD, FID, O$_2$メータ,ケミルミ,赤外吸収CO$_2$メータ ガスクロ
湿度・水分 膨潤性,蒸発熱,赤外線吸収,容量変化,電気伝導度 毛髪,乾湿球,セラミックセンサ エアコン
流量 速度・運動量に変換,体積測定 電磁流量計,羽根車式,差圧式,容積式,フロートメータ 流量計
形状
画像解析
像の再構成,フラクタル解析 TVカメラ, フォトダイオードアレイ OCR,粒径計測器
濁度・透明度 明度・色彩比較法
硬さ 痕跡法,超音波反射
比重・密度 比較法,重量法
弾性率 弾性変形法,音速計測
探傷 超音波反射,X線透過,画像処理
火災・煙 赤外線検知,ガス検知
ニオイ・味覚 化学反応 (指標なし)
感触 (指標なし)
角度 (長さとして計測)
加速度 (力計測) 加速度センサ
音波・振動 (圧力や変位として測定) マイクロフォン マイクロフォン
熱量 (温度として測定)
現象・効果一覧
対象 効   果 変 換 現 象
ゼーマン 磁界によるスペクトル分岐
ハッセンバック 強磁界によるスペクトル分岐減少
シュタルク 電界によるスペクトル分岐
分光 波長による屈折率の差
ブリルアン f 音による光の周波数シフト
ドップラー f 運動する物体からの光波長シフト
回折 光が直進しない現象
パラメトリック f f $λ=λ12$ の光分化
ミー散乱 光との弾性衝突による発光
レーリ散乱 光との弾性衝突による励起発光
ラマン散乱 光との非弾性衝突による励起発光
コリジョン・ドラッグ 金属 超音波による起電力発生
ドウハースバンアルフェン f 磁界による超音波吸収係数の変化
ΔE 強磁界によるヤング率の変化
音響電気 電圧 音波による起電現象
ドップラー f 運動する物体からの波長シフト
回折 物体の大きさによる周波数シフト
グレビッチ 温度 温度勾配による電流
熱音響 音によって熱流の生じる現象
半導体 トンネル 薄い絶縁物を電気のながれる効果
アーリ 半導体効果 pn接合での空乏層の拡大
蓄積 半導体効果 pn接合での電圧逆転時の逆起電力
ツェナー 半導体効果 pn接合での逆電圧での電流増大
電子なだれ 半導体効果 pn接合での逆電圧での電流降伏
自己バイアス遮断 半導体効果 Trでのエミッタ周辺の電流集中
電界 電界 電界による蒸着膜限界厚さの低下
ガン 半導体 電界 高電圧によるマイクロ波の発生
圧力 圧力 物性 高圧による半導体物性の変化
ジョセフソン 超電導 電流 超電導物質での無電圧時の電流
表皮 f 電磁 電気磁気が表皮部分に集中する現象
金属 アズベル・カナー 温度 電磁 極低温での高周波電界によるサイクロトロン共鳴
サイズ 金属 金属薄膜の厚さによる導電率の急変
ボルタ 物性 異なる金属の接触電位の存在
磁気 カルゼッキ・オネスティ 金属粉末の導電率異変
マイスナー 温度 磁気 超電導物質中に磁界が入らない現象
バルクハウゼン 磁気 磁区の変化による音の発生
磁気熱量 磁気 常磁性体の磁界による発熱現象
現象・効果一覧(つづき)
対象 効   果 変 換 現 象
光電
光伝導 抵抗 光による電気抵抗の低下
光電子放出 光電 電子 光による電子放出
デンバー 光による固体内起電力発生
ボッケルス 電界のよる屈折率変化
光電磁 光と磁界による起電力発生
ベックレル 光電 液体中の物質の光による起電力の発生
ケル(液晶) 屈折 電場磁場による複屈折現象
ロゼフ 半導体の接触点が発光する現象
ジュールトムソン 圧力 温度 断熱の圧力変化による温度変化
ゼーベック 温度 電気 異種金属の温度による起電力発生
ペルチェ 電気 異種金属の電流による熱の吸収発生
トムソン 温度 異種金属の温度差による熱の吸収発生
パイロ電気 誘電固体を加熱すると起電力を生じる
熱イオン 電子 高温の気体がイオン化する
電磁 磁気抵抗 電磁 抵抗 磁気による電気抵抗の増加現象
ホール 電磁 磁気による電位差の発生現象
プレーナ・ホール 電磁 磁気による直交電位差の発生現象
ズール 電磁 f 電界と磁界のある場合の正孔拡散異常
エッチングハウゼン 電磁 温度 電流のある場で磁界の作る温度勾配
磁界 ファラデー 偏光 磁場による光の偏光変化
振動性磁気光 f 磁界による吸収係数の波長による振動現象
コットン・ムートン 屈折 磁界のよる屈折率変化
熱磁 ネルンスト 熱磁 熱流が電位差を作る現象
リーギ・ルデュック 温度 磁場が温度差を作る現象
磁歪 ピラリ 磁歪 強磁性体に磁場を加えると歪を生じる
ジュール 磁界 磁歪 強磁性体に応力を加えると磁場を生じ
ウイーデマン 磁界 磁歪 強磁性体に直交磁場を加えるとねじれ
ΔE 磁界 力学 強磁界によるヤング率の変化
圧電 圧電(ピエゾ) 強誘電体に力を加えると電圧を生じる
逆圧電(逆ピエゾ) 強誘電体に電圧を加えると歪を生じる
圧抵抗 抵抗 強誘電体に力を加えると抵抗変化する
歪抵抗 抵抗
電子放出 エジソン 真空中高温金属に電流の流れる現象
熱電子 電子 金属板を加熱による電子放出
ショット 雑音 熱電子の陽極への到達量の変動現象
フリッカ 雑音 熱電子の陰極からの放出量変動
ジュロット 音電 雑音 熱イオン管での陰極電子放出量変動
クラマー 温度 電子 低温金属からの電子放出
ショットキー 物性 電子 電界による表面仕事関数の低下
空間電荷 電界 電荷 放電中でのイオン停滞現象
現象・効果一覧(つづき)
対象 効   果 変 換 現 象
誘電 中骨 物性 f 誘電体の高周波電界の中心集中現象
電気熱量 誘電体の電界変化による発熱
遅滞 電磁 界面近傍で分散力が急変する現象
ジョシー 誘電率 ガスコンデンサの光による誘電率変化
Johnson-Rahbeck 半導 薄半導体の電界による吸着力発生
放電 ベニング 気体 電子 2種類の気体のよる放電電圧低下
マルター 物性 電子 金属酸化膜による$\gamma$効果の増大
周辺 電子 放電 絶縁破壊電圧の周辺物質の影響
熱・磁気ピンチ 放電 形状
Ramsauer-Townsend 電子 電子の平均自由行程が分子以下になる
放射能 アウガー X線 電子 X線による気体のイオン化
コンプトン X線 X線 X線の非弾性衝突による長波長化
メスバウアー γ線 原子核によるγ線の放出吸収
化学 コットン 抵抗 屈折 光学活性物質の偏光による屈折率差
中性塩 イオン 化学 中性塩による反応速度
飽和 電磁 磁気 高分子の核磁気共鳴吸収の飽和現象
カーケンドール 拡散
直流 電気化学

この他にも, 力学での効果や現象である ``弾性効果'', ``低温効果'', ``結晶効果'', 流体力学で用いられる ``コアンダ効果, ``カルマン渦現象 などの効果や現象など 非常に多くの効果や現象が知られている。

これらの現象や効果についての詳細は,理化学辞典や文献[25] を参照されたい。


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Ken Kishimoto 2014-06-02
--------------------------------------------- --------------------------------------------- & & 効\qquad 果 & \multicolumn{2}{c|}{変換} グッデン・ポール 光電 電界のよる光の増幅・減衰 デストリオ 粉末の電界のよる発行 Johnson-Rahbeck 半導 熱・磁気ピンチ 放電 形状 放電径が磁気や熱で絞られる アウガー X線 電子 X線による気体のイオン化