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インパルスフィルター

デジタル信号処理技術は LSI の発展によって出現した技術である。デジタル信 号処理装置 DSP は汎用の MPU に比較してレジスターを多用するが、命令が単純 であるために専用の LSI として発達した。このDSPはハードウェアでフーリエ変 換や畳み込み積分を極めて高速に行うことができるため、今までコンピュータ がプログラムによって行っていたデータ処理を、数十倍高速に行うことがで きるため、ADC を DSP のバスに直結してほぼリアルタイム信号を処理できる。 このために、多量のデータ処理が必要であった画像の解析や、通信データの即時 処理に利用される。

この利用分野の中の1つにデジタルフィルターがある。デジタルフィルタ技術を 時系列データに応用したものとして、図5.8のような有限インパ ルスフィルターFIR,無限インパルスフィルターIIR の2つの方法がある。

図 5.8: FIRとIIR
\includegraphics[scale=0.65]{Figs/Fir-Iir}

5.8のようにデータを一定時間遅らせる\fbox{T}とデータと係 数を乗算するユニットや加算ユニットから成り立っている。

FIRは非巡回型フィルターと言われ、現在及び過去の入力値のみで現在の出力を 得るものである。

\begin{displaymath}
y_k = \sum_{i=0}^m a_ix_{k-i}
\end{displaymath} (5.39)

また、IIR は巡回型のフィルターであり、過去の出力値も現在の出力値を計算す るために用いる。
\begin{displaymath}
y_k = \sum_{i=1}^Nb_iy_{k-i} + \sum_{i=0}^m a_ix_{k-i}
\end{displaymath} (5.40)

この2つのフィルターの係数の設計計算方法はプログラムとともにデジタルフィ ルターの適当な教科書[16]に掲載されているので割愛する。こ の2つのフィルターで、FIR は係数の如何によらず出力が収束して安定している が、IIR は係数によって発散することもある。しかし、出力の計算に用いられる データの数は同じ効果を与える2つのフィルターではIIRの方が少なくて済むた め計算は高速になる。



Ken Kishimoto 2014-06-02