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アンサンブル平均

図 5.9: 振動のアンサンブル平均の平均回数による違い
1mm


周期を持った信号を

\begin{displaymath}
f(t) = \sum_{i=1}^Na_i\sin(\omega_i t + \phi_i) + Sn(t)
\end{displaymath} (5.41)

のように強さ$a_i$、周期成分$\omega_i$ を持ち、ノイズ$Sn(t)$が重畳してい る波形を想定する。

この信号を

\begin{displaymath}
\overline{f(t)} = \lim_{\tau \rightarrow\infty}\frac{1}{\tau}
\int_0^\tau f(t) dt
\end{displaymath}

とすると、周期成分は全て平滑化されてゼロになる。さらに、正確な平均を出す ためには積分時間を無限に長くする必要があり、実用的ではない。そこで、 一群のデータ集団を考え、 これをデータの集団(アンサンブル)として処理する方法で統計力学から導入さ れた。これがアンサンブル平均という概念である。

いま、このアンサンブルを時間空間に対応させ、一周期を集団として考える。 すると、


\begin{displaymath}
\langle f(t)\rangle = \frac{1}{N} \sum_i^N f(t + i\cdot \tau)
\end{displaymath} (5.42)

この信号を離散化し、ある周期 $\tau = 2\pi/\omega_i$で切 りとって重ね合わせると、この周期とその整数倍の周期を持つ信号が強調され、 他の信号は減衰することになる。このような処理方法をアンサンブル平均と言う。

このようにして、容器内で接続された管から高周波を含む雑音が入ってくる環境 で、自励振動波形の観察した例を図5.9 に示す。この図のよう に重ねあわせを数多く行うと、$t=0.8$にある小さなピークを見いだすことがで きる。このピークはノイズに埋もれて通常は発見できないが、1000回の平均を取 ると、認識できるようになる。



Ken Kishimoto 2014-06-02