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熱電対(サーモカップル)と熱電堆(サーモパイル)

異種金属線の両端を接続し, その接点間に温度差を与えると 熱起電流 を生じる(図3.2-(a))。 この現象は、1821年にドイツの物理学者トーマス・ゼーベックによって発見され ゼーベック効果と言う。 逆に,異種金属のループに電流を流すと熱放出と熱吸収が起こり 金属に熱流を生じる現象をペルチェ効果という。

また, 両端を接続した金属線の 一方の金属を切断すると その間に 電位差(熱起電力) )を生じる(図3.2-(b))。 この効果を利用して 起電力の大きさから 接点間の温度差を測定するためのセンサを 熱電対という(JIS C1602-1981)。 この金属には,

  1. 金属の熱的,化学的安定度が大きい。
  2. 金属の機械的性質が大きい。
  3. 起電力が大きい。
  4. 直線性がよい。
  5. バラツキが少ない。
  6. 安価である。
という特徴がある。

表 3.1: 熱電対の種類と測定範囲,最大起電力
旧型 +金属 -金属 測温範囲 最大起電力 mV 等級
B - PtRh30% PtRh6% 0$\sim$1800 13.6 0.5
R - PtRh13% Pt -10$\sim$1680 20.7 0.25
- PR PtRh12.8% Pt -10$\sim$1680 20.7 0.25
S - PtRh10% - -10$\sim$1700 17.9 0.25
K CA クロメル
(Cr:10% Ni:90%)
アルメル
(Al,Mg,Si,Ni)
-200$\sim$1200 54.2 0.4
E CRC クロメル コンスタンタン
(Cu:55%,Ni:45%)
-250$\sim$950 72.8 0.4
J IC Iron コンスタンタン -200$\sim$1150 69.8 0.4
T CC Cu コンスタンタン -250$\sim$380 20.2 0.4
N - ニクロシル
(Cr:14.2% Si:1.4% Ni)
ニシル
(Si:4.4%Ni)
-200$\sim$1200 44.7 -
- WRe5-26 W-Re5% W-Re26% 0$\sim$2480 36.8 -
- WRe3-25 W-Re3% W-Re25% 0$\sim$2400 39.5 -
- IrRh40 Ir Ir-Rh40% 1100$\sim$2000 20.2 -
- IrRh50 Ir Ir-Rh50% 1100$\sim$2000 20.2 -
- CuAu Cu Au-Co2.11% 4$\sim$100K - -
- CrAu Ni-Cr Au-Fe0.07% 1$\sim$300K - -
- AgAu Ag-Au0.37% Au-Fe0.07% 4$\sim$20K - -

図 3.2: 熱電対の原理

1mm
\begin{picture}(120,63)(0,5)
% put(0,0)\{ line(1,0)\{120\}\} put(0,0)\{ line(0,...
...T_2)$}}
\put(10,9){\includegraphics[scale=0.8]{Figs/TcBasic.eps}}
\end{picture}

金属には電子の動き易さ(電子易動度 )という物性値があり 温度の関数である。 ある温度での2つの金属の間の起電力差 (熱電能 Emf Electro Motive Force) は 2つの金属の電子易動度の温度係数が異なるために、生じる起電力である。 この、A B 二種類の金属の温度$T$での熱起電力(熱電能)を $E_{mf_{AB}}(T)\/$とすると,

\begin{eqnarray*}
E_{mf_{AB}}(T)+E_{mf_{BA}}(T) & = & 0\\
E_{mf_{AB}}(T_1)+E_{mf_{BA}}(T_2) & = & \Delta E_{mf}
\end{eqnarray*}

が図3.2-(b)に対応する。 図3.2-(c)のようにこの A B 金属間に第3の金属 C を入れると,

\begin{displaymath}
E_{mf_{AC}}(T_1)+E_{mf_{CB}}(T_1) = E_{mf_{AB}}(T_1)
\end{displaymath}

という関係が成り立つので,A$-$C, C$-$B それぞれの接点の温度が等しければ, この第3の金属の影響はなくなる。

このため, 接点温度が異なる場合にはその差がそれほど大きくなければ 温度の差の1/2程度の誤差をもつ。 つまり,A$-$C, C$-$Bそれぞれの温度の平均値に近い値を示す。 このため 低温であるならばバンダ球や 熔融金属の中に2つの線を入れても,計測自体には問題がないことになる。 また多点切替えでは一方の線を共有して,接 点や基準冷接点の点数を減じる方法もとられる。



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Ken Kishimoto 2014-06-02