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サーミスタ

金属酸化物や半導体などの電気抵抗が温度で変化することを利用して温度を測る ために用いられるのが サーミスタである。 その形状は小型のものが多く金属酸化 物(Mn,Co,Ni)やシリコン単結晶、薄膜(Ge,SiC)などが用いられる。

図 3.7: サーミスタの形状
\includegraphics{Figs/thermistor.eps}

温度の上昇で抵抗が大きくなるものを PIC(Positive Temperature Coefficient Thermistor)といい、 この代表的の材料は、 強誘電体であり正の温度依存を示すチタン酸バリウム(BaTiO$_3$)を主成分とし イットリウム Y, ランタン La を配合してキューリー点を調整したサーミスタで ある。図3.8のPTCは、80をキューリー点としたサーミス タを示す。 この図のように特定の温度で抵抗値が急上昇する特性を持ち、 過熱検出や過電流検出などに用いられる。

また、図3.8に示すように、 特定の温度で抵抗が急変するものを CTR(Critical Temperature Resistor) と呼び, 酸化バナジウム系材料を用いたサーミスタである。 CTR は比較的狭い温度範囲で抵抗が急変する特性を持つため、 ヒューズのように ある温度を超えたか否かを知らせる温度スイッチとして使うこともある。

一方、温度の上昇で抵抗が減少するものを NTC (Negative Temperature Coefficient thermistor) といい、 この材料はニッケル、マンガン、コバルト、鉄などの遷移金属酸化物を混合し て焼結したものが多い。 一般には 温度測定用素子としてのサーミスタというと このNTC を指す。 サーミスタにはその特性を表わす$B$定数があり, $T$ は絶対温度K, $R$ は抵抗値$\Omega$ として

\begin{displaymath}R = A \exp B(\frac{1}{T}-\frac{1}{T_0}) \end{displaymath}

で示されおおよそ 3200$\sim$5500K 程度である。 図3.8は横軸に $1/T$ を取り、 抵抗値の対数を縦軸とした図であり、ほぼ直線となっている。 この図の NTC は$B=4388$Kのサーミスタである。

図 3.8: サーミスタの温度特性
\includegraphics[scale=0.8]{Figs/thermistor-dat.eps}
また, サーミスタ素子特性として熱容量に関連して 熱放散定数(W/)と 温度追従性を表わす熱時定数(sec)がある。

サーミスタの特徴は

である。

NTC は 体温計などの計測器に用いられるほか、 冷蔵庫、エアコンなどや、 液晶パネルや2次電池の保護回路、 プリンタ・ヘッドでの温度検出、 パソコンのメイン・ボードでの温度検出などにも使われる。 これらのサーミスタは わが国では、KOA、村田製作所、TDK、太陽誘電、石塚電子などが取り扱っている。



Ken Kishimoto 2014-06-02