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熱線風速計

電流を流して発熱させた極めて細い線から気流に放熱する熱伝達量は 流体の速度に依存した熱伝達率で決まることを利用した測定方法である。 通常この細線は 白金、タングステン、白金イリジウム が 使用される。 気流の温度変動がある場合には誤差となるので、 測温素子を併用して測る場合が多い。

極めて細い細線の温度は

\begin{displaymath}
P = \rho_s\frac{\pi D^2}{4}c\dif{T}{t}=\pi D\ell h(T-T_a)
\end{displaymath} (3.27)

で与えられる。細線の熱伝達率は King の式[4]で表せ、

\begin{displaymath}
P = i^2R = \frac{V^2}{R} = (a+b U^{\frac{1}{n}}+cU)(T-T_a)
\end{displaymath}

P : 熱線の放熱量 U : 流速
i : 電流 R : 電気抵抗
V : 電圧 a,b,c : 抵抗値の係数(c=0とする場合もある)
n : 速度に対する指数($\approx$2.0)    
で関係付けられる。 熱線風速計には、定温度型と定電流型とがある。 いずれも 図3.54に示すような抵抗のブリッジ回路の一辺を 熱線とする方法である。
図 3.54: 熱線風速計のプローブと動作原理回路
\includegraphics[scale=0.48]{TgifFigs/hotwire.eps}      \includegraphics[scale=0.8]{TgifFigs/Anemometer.eps}

定電流型では、iが一定であるとして、R の変化を求める方法であり、 定温度型では、温度つまりRを一定にするように、iを変化させる方法であり、 低電流型に比較して応答性は著しくよい。 いずれも、熱線は、5.0μm や 3.5μm あり、これらの抵抗値も数である。 定温度型では抵抗Rすなわち上の式に示した $T-T_a$が一定であるので、 a,b,c,n をあらかじめ測定しておけば
\begin{displaymath}
V^2=a+bU^{1/2}+cU
\end{displaymath}

という式から、加熱に用いる電圧を測定して、Uを知ることができる。

3.54に示す回路において、 速度が大きくなり放熱量が大きくなると熱線の温度が低下することになる。 すると 熱線の抵抗は低下する。 そのため OpAmp の+端子電圧が上がることになる。 これは OpAmp の出力電圧を増加させるため、 放熱の大きくなった素子に電力を供給して、抵抗値が 常に一定になるように OpAmp の出力を制御する方法である。 すると、 抵抗変化の元の温度変化に基づく$(mc/Ah)(dT/dt)$ の項目がゼロとなるので、 見掛け上、熱慣性($mc/Ah$)があっても 温度変化の遅れがないとみなせる。 言い換えれば質量ゼロと同じ効果がある。



Ken Kishimoto 平成19年3月18日