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三井さんの「与論とダイビングとボンベの想い出」

Wed, 15 Oct 1997 11:15:24
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今年の与論行きは台風と同行だった。

そんな滞在期間中なんとか潜りたい。一本でもイイから潜りたい。そんなイライ ラ、ムラムラした4日目の夜、お世話になっているウドノスYMSは開店休業。 夜はしたたかに献法の真っ最中。明日も開店休業間違いなしと判断して新しいダ イビング業者に連絡した。

我が地元大阪から移って来たという「ブクブクダイバース」に予約した。翌日な んとか潜れるというので送迎のクルマに乗った。漁港に着くまでの間、同乗者で あるボンベ達はガタガタ揺れてたいへん賑やかである。あまりにも賑やかなので 「爆発しないか」とハラハラした。同時に、初めてボンベを背負った記憶にタイ ムスリップした。

ダイビング初体験はクロパナだった。16年前だろうか、、、レギュとハーネス だけを手渡され「やってみるか」この一言だけだった。当時の与論はBCどころ かCカードなんて見た事も無かった。結局そのシーズンのバイト期間中、20本 ほど潜った。レンタルは決まって「児玉さん」だった。古い古いボンベで幾つか はリザーブレバーがあったのを記憶している。

その後、自分は立派なダイバーだと思ってグァムに旅立った。早朝、ショップに 行くと「ライセンスを見せて下さい」という。すぐさま「そんなもの持ってない」 と切り返した。そうすると「しょうがないなぁ。じゃぁ、これ使って」と手渡さ れたのはBCだった。当時のグァムもまだ、こんなやりとりがあるノンビリした 時代だった。ところが手渡されたBCは、与論で漁師としか潜ったことのない私 にとっては何に使うかサッパリわからなかった。

「これ、どうやって使うのですか?」 素朴に質問した。「駄目だよアンタ!体 験ダイビングに回って!」 ショップのオーナーは呆れて激怒した。当然である。 水深30メートルの沈船の中に入ってゆくポイントなんてザラにあるのだから。 その日はソーセージを魚に食わした。与論で追い込み漁をやってる魚にである。 屈辱だった。水深2メートルだったのだから。数ヶ月後、ライセンスなるものを 取得した。

数年後、与論行きは自信満々だった。グァムよりさらに上のライセンスを地元の 「味噌汁のような海で」取得したのだから。空港到着後、目に止まった看板には 「1ダイブ¥6000」と書いてある。すぐさまショップを訪ねてライセンスを 提示した。

「フーンこれがライセンスっていうもの、、初めて見るよ」 その時、私は「やっ ぱり与論なんだ」と苦笑いした。しかし、ボンベは随分新しくなっていた。グァ ムで習ったBCも置いてある。与論にも本格的ダイビングブームの到来を感じさ せた。この年、4週間の滞在で毎日ボンベをレンタルした。

昼メシ前に必ず1本、シナハの海岸からビーチエントリーした。相変わらずBC は無くハーネスでボンベを担いでいたので、アウトリーフまでの距離が短いシナ ハが常となる。しかも、エアーがもったいないのでシュノーケリングで海面移動 した。

現在の沈船ポイントまでがお決まりのコースだった。アウトリーフに出ると水深 12メートルほどが続いて途中で一気に40メートルまで落ち込んでいる。海亀 もいたし、たまには大物の魚もやってくる、一度化け物のような「オコゼ」にで あったことがある。珊瑚の塊だと思ったらユックリ動き出したので驚いた。そし てなによりも荒らされていない珊瑚、その上を漂い水深30メートルまで落ちて ゆく「宇宙遊泳感」が好きだった。4週間が過ぎ最後の1本、減圧中に小さな小 さなサカナの大群が私の回りを囲んだ。太陽の光でキラキラ輝く姿に見とれてい た。減圧時間が過ぎてもずっと見とれていた。海面に上がりたくなかった。いつ までもそこに居たかった。

また数年後、新しいダイブショップにかわっていた。光り輝くボンベをレンタル した。返却時、キズが着いたと文句を言われる。「与論にもダイブショップがやっ てきたのだ」と感心した。

今年の7月、ブクブクダイバースのボートはシナハ沖を目指していた。「沈船は 深いので中性浮力に注意して下さい」と女性インストラクターが言う。同船して いる他の客は最新の「ギア」を身につけている。「ダイブコンピュータ持ってい ないのですか!?」驚きの表情でイヤな顔された。

遠い昔、レギュとボンベで泳いでいったのは今から潜る所だということは黙って いた。

手渡されたボンベ達はガタガタ揺れてたいへん賑やかだったので、キズが着いて いた。 なんだかホッとした。