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Kishimoto
開発とは From: "玉置"
Date: Fri, 2 Oct 1998 10:57:24 +0900
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与論に興味のある皆さん、はじめまして。最近の議論を拝見して、私もいても立って
もいられず発言させていただきます。ただし仕事中に上司同僚の目を盗んで書き込ん
でいますので、少々散文的になってしまうことをお許しください。
ほんの短い間ながら元住民であったものとして、与論のことを考えてくださる方がい
らっしゃることに感慨を禁じ得ません。
さて、さまざまのご意見の中でやはり根本的に考えておかなくてはならないのは、
「島の発展」とはなにかと言う点ではないでしょうか。もちろん現在のサトウキビに
依存した農業のあり方に将来性があるとは言えないことは皆さんご存知のことでしょ
う。それでは、島に大規模な工場を誘致し工業を振興することでしょうか。これも違
うことは自明の理です。極端な例を出しましたが、立地や自然、そして文化などバラ
ンスを保った開発が求められているのではないでしょうか。
20年ほど前、「離島ブーム」と言うものがあり、与論は驚異の数の観光客を受け入れ
るようになりました。(私自身はそのころのことはよく知りませんが)当時ホテルや
民宿が競って建てられ「島の発展」をよろこんだと聞いています。しかし、今日与論を
訪れるとそこここに放置され廃墟と化した当時の残骸が哀れな姿をさらしています。
今与論には大型船が接岸できる港が2つあります。人口6000人あまりの島に2つの港の
是非はともかく、大型船が入って来られる水深を確保するため、珊瑚の海底をかなり
浚渫しています。そのため珊瑚(リーフ)という自然の防波堤を失った港付近には波が
直接洗うようになり、それに応じて沖合いにテトラポッドの小島が築かれなくてはな
らなくなりました。すると、海流が変わり砂浜が侵食されさらにそれを防ぐため、今
度は長いテトラポッドによる防波堤が島を守るように配置されています。茶花湾のテ
トラポッドの列をご覧ください。しかし、島とテトラの間の海水の交換が以前ほど速
やかに行われなくなったため、付近の海岸線は異臭を放っています。都会から来た観
光客は「磯の匂いがする」といっていますが、あれは汚れた海の匂いです。それでも
島民の方でさえ波しぶきがかからなくなって、家や車が腐らずよかったという方もい
るのです。反面、2つの港があることで、船の寄港率はあがり、物資の供給は安定し
ました。そのため、台風の時以外は雑誌も食品もいつでもAコープなりトップなりに
行けば買うことが出きるようになりました。YS-11という中型機が降りられる空港も
あいまって、新聞は夕方に郵便も速達であれば翌日に届きます。でも、野菜などは外
部(特に本土)からの供給に依存するようになり、島内での栽培はほとんど無くなり
ました。それでも、これから何十年にもわたって港は島に対して恩恵を与えつづける
ことが期待されます。
プリシアというホテルが出来、観光資源の少ない与論で現在でも新規の観光客を誘致
しています。しかし、ハニブ海岸はほぼ完全にプリシアが占有する状態になり、島民
が行くところではなくなりました。都会から来た観光客がプリシアから一歩も外に出
ずに滞在し、去って行くという観光スタイルが確立されました。そうは言っても夏場
の鹿児島からのYS-11便64席のほとんどはプリシアの客が占め、島民がちょっと本土
に行きたいと思っても席が取れません。でも、プリシアの客がいなかったら、JAC(日
本エアーコミューター)も与論便の就航をとうに見直していたでしょう。
さて、文が長くなりましたが、真の発展とはなにかをよく考えましょう。港がある空
港がある、これは重要なことです。これらは数十年のスパンで島に恩恵を与えること
でしょう。
ヨットハーバーは必要でしょうか。ヨットの喫水を確保するため大規模な浚渫が必要
です。すると沖合いにテトラが必要です。ヨットハーバーの建設工事には数年がかか
るでしょう。その間工事の大部分は本土のゼネコンが持っていきますが、ほんの一部
は某KB建設さんが請け負うでしょう(関係者の方ごめんなさい)。するとその数年間
は多額のお金が島に落ちます。某KB建設さんは今のよりもっとすごい浚渫船を装備す
ることでしょう、だって必要なんですから。その浚渫船はヨットハーバーができた後
も、その存在を維持するために与論のリーフを掘り起こすのにきっと役に立つ(?)
ものとなります。その後はもちろんテトラで埋めます。どんどんお金が島に落ちます
が、自然はもう戻ってきません。さすがにテトラで囲まれた島には観光客も訪れなく
なり、プリシアも撤退、JACもサーブ(34席)に機種変更の後さらにドルニエにしたが
搭乗客が減ったため不定期航路に変更。それでも工事は続きます。こんなシナリオが
豊かな島の未来なのでしょうか。私には到底賛成できません。
実は島民の多くは現金を結構持っています。しかし、島の自然に本当の豊かさがある
ことがわかっていないと言うのも事実です。若者が彼女を口説くのに、つい20年前ま
では彼女の家の窓のしたで月明かりのもと三線で唄い愛を語ったそうですが、今の若
者はやっぱり車でデートだそうです。われわれも無責任なことは言えませんが、三線
弾けるほうがカッコいいんだ!という価値観を広めていくことも、都会生活をしてい
る私たちのささやかな自然保護ではないでしょうか。
そして無闇に観光客の増加を図るのではなく、何人くらいが適正なのかを見極め、そ
の人員を誘致するためにはどうするかをもう一度考え直さなくてはなりません。与論
に残されている最上の財産、それは自然です。この資源を生かすも殺すもわれわれ人
間です。
翻って考えればこれらの問題は与論に限らず、日本いや世界全体にあてはまることで
す。しかし与論のことを考えることにより、世界も見えてくると言う好循環をつくり
たいと思うのはみなさん同じだと思います。